ナイジェリアの証券取引委員会はこのほど、仮想通貨取引所登録料を3000万ナイラから1億5000万ナイラへ大幅に値上げする 方針を示した 。金融コミュニケーションおよびP2Pアプリ「NoOnes」のCEO、レイ・ユセフ氏によると、今回の登録料値上げは、大手仮想通貨取引所のコインベースなどの参入を促す狙いがあるという。

ただ、政府が自由市場の促進を抑えることを目的としたP2P(ピアツーピア)プラットフォームに対する規制を強化しているため、仮想通貨サービスの勢いには制限が生じる可能性があるという。ただ、政府は為替流出抑制のためP2Pサービスを制限する意向だが、P2P取引を排除すれば、規制に順守した取引所は問題なく運営できる。

しかし、この戦略はP2P取引の選好が強いナイジェリアの仮想通貨市場と衝突しており、取引所にとって大きな障害となっている。それでも、ユセフ氏は、最近の規制の課題にもかかわらず、ナイジェリアが仮想通貨エコシステムでの地位を維持できると楽観的に考えているようだ。

ユセフ氏は、政府は豊富なP2Pトレーダーを活用し、仮想通貨関係者を協力者として迎え入れることで、国家経済を活性化させるための仮想通貨活用法を模索すべきだと主張している。

ナイジェリアは2021年の中央銀行による仮想通貨取引禁止措置を受け、世界最大のP2P仮想通貨市場となった。その後、2023年12月に規制が緩和され、仮想通貨取引所はナイジェリアでのライセンス取得が可能となった。

ユセフ氏は、ナイジェリアの中央銀行デジタル通貨(CBDC)「eNaira」の普及に向けた政府とGluwaのパートナーシップについても言及。政府は、CBDC導入にあたって、地方経済の活性化や起業家への融資、若年層の利用促進を図るなど、異なるアプローチをとるべきだったと話している。

ナイジェリア政府と仮想通貨取引所はたびたび対立している。バイナンスは2月に政府から批判を受けた後、3月8日にナイラ建ての取引を停止した。また、2022年8月には、Google検索における「仮想通貨」や「仮想通貨を購入」といったキーワードの検索数で、ナイジェリアは世界で最も仮想通貨に熱心な国とされた。