テザー（Tether）がトロンネットワークで10億USDTを発行

テザーがトロンネットワークで10億USDTを発行

トップステーブルコインUSDTを運営するテザー（Tether）社は、トロン（Toron）ネットワークで、新たに10億トークンを鋳造したことが明らかになった。

#Tether is like the @federalreserve of #crypto ! Every time more $USDT is minted, the market seems to climb higher.

During the latest #Bitcoin correction, those #USDT printers were working overtime! pic.twitter.com/J8tLbjcMHe

— Ali (@ali_charts) August 20, 2024

この動きは、7月15日にトロンネットワーク上でさらに10億USDTの鋳造が行われた後に行われたもので、最近の仮想通貨市場の回復の中で、このネットワークの需要と採用が拡大していることを示している。これについて、仮想通貨アナリストのアリ・マルティネス（Ali Martinez）氏は、これがビットコイン（Bitcoin/BTC）価格を押し上げる可能性を示唆している。同氏は、テザーと FRB （The Federal Reserve Board：連邦準備制度理事会）を並列に考え、USDTの新規発行後に仮想通貨市場がしばしば上昇することを指摘している。彼はまた、最近の市場下落時にUSDTの鋳造が急増したことを観察し、これは潜在的な市場回復の予兆である可能性を示唆している。

同じ意味で、大規模なクジラの動きを追跡するXアカウントWhale Alertは、8月20日にTetherが10億USDTトークンを大量に鋳造したと投稿で述べており、同氏の理論によれば、この造幣の急増はビットコインの値動きに影響を与える可能性がある。

しかし、Tetherのパオロ・アルドイーノ（Paolo Ardoino）CEO（最高経営責任者）は、新たに鋳造された10億ドルのUSDTは、Tronネットワーク上の在庫を補充するためのものであることを明らかにしている。これはある意味、将来の需要急増に備えたトロンの動きであるとみられており、同次の様に述べている。

これは認可されているが発行されていない取引であり、この金額は次の期間の発行要求とチェーンスワップの在庫として使用されることを意味します。

テザーによるUSDT鋳造は戦略的な動きか

テザーによる最新のUSDT鋳造は、ビットコインが最近60,000ドルのレジスタンスラインを超えて回復したことに端を発しており、潜在的な市場上昇を前にした戦略的な動きの可能性がある。

ビットコインは過去24時間で4%以上上昇し、2024年8月21日13時半時点で、1BTC=8,651,795円（59,385ドル）前後で取引（※ CoinMarketCap 調べ）されている。CoinMarketCapのデータによると、USDTの時価総額は1,170億ドル（約17兆円）で、Circle のUSDコイン（USDCoin/USDC）の時価総額350億ドル（約5.1兆円）を大きく上回っている。

さらに、USDTの取引量は過去24時間で27.13%急増し、現在505億ドル（約7.35兆円）を超えており、現在、1,169億9,000万USDTのトークンが流通しており、総供給量は1,180億6,000万USDTとなっている。実際、USDC、ダイ（Dai/DAI）、ファーストデジタルUSD（First Digital USD/FDUSD）、PayPalのペイパルUSD（PayPal USD/PYUSD）など、他のステーブルコインは、この短期間でUSDTが達成した成功にまだ追いついておらず、Tetherが仮想通貨市場のFRBであるという地位は、今のところ揺るがないだろう。