ポルトガル大手銀行、規制を理由に仮想通貨取引所への法定通貨送金を停止
ポルトガル大手銀行が仮想通貨取引所への法定通貨送金を停止
ポルトガルの大手銀行の1つである BiG (Banco de Investimentos Globais:世界投資銀行)は、仮想通貨取引所への法定通貨送金を停止させた。
これは、Delphi Labs(デルフィ・ラボ)の共同創設者であるホセ・マリア・マセド(José Maria Macedo)氏が共有した通知で明らかになった。通知によるとこの措置は、 ECB (European Central Bank:欧州中央銀行)、 EBA (European Banking Authority:欧州銀行監督機構)、 ポルトガル銀行 (Banco de Portugal)のガイドラインに沿っており、デジタル資産のリスクを強調している。また、マネーロンダリング(資金洗浄)とテロ資金供与と戦うために設計されたポルトガルの法律準拠を保証する目的も強調されている。
他行との違いは金融機関による慎重な姿勢の表れか
この動きは、欧州連合が暗号資産市場(MiCA)規制の下でより厳格なガイドラインを推進するなど、欧州の仮想通貨市場に対する規制監視の強化を受けたものである。
しかし、一部専門家はこの動きについて、ユーザーを既存銀行による管理外の分散型プラットフォームに押しやることにより、裏目に出る可能性があると主張している。
BiGの方針変更にもかかわらず、Caixa Geral de Depósitos(カイシャ・ジェラル・デ・デポシトス)など、他の同国大手銀行は、依然として仮想通貨関連の送金を処理。この展開は、ポルトガルが歴史的に仮想通貨に友好的な姿勢をとってきたにもかかわらず、金融機関がより慎重なアプローチを取ることを意味している可能性がある。同国は、仮想通貨取引を付加価値税やキャピタルゲイン税から免除するなどしている。
仮想通貨に伴うリスクに対する世界的な懸念を反映した声も
BiGが参照したガイドラインは、ビットコイン(Bitcoin/BTC)の著名な批評家であるECBの経済学者ユルゲン・シャーフ(Jürgen Schaaf)氏の 論文 と関連しているとみられる。
同氏は2024年2月、ビットコインのボラティリティと環境への影響の可能性に関する懸念を強調した論文を発表しており、当時、5万ドル(約790万円)のしきい値を超えた時のビットコイン価格を精査し、市場操作に触発された「デッドキャットバウンス」と表現した。ただし、同氏の分析以降、ビットコインの価値はさらに100%上昇している。
同氏は、米国でスポットETF(上場投資信託)を承認しても、ビットコインが安全な資産として正当化されることはないと主張。ビットコインの「実質的な禁止」の可能性を含む、より厳しい規制を求め。2024年10月20日には、ビットコインは主に新規投資家を犠牲にして早期採用者に利益をもたらし、経済の生産能力には貢献していないと示唆する別の論文を発表した。
また、Delphi Labs(デルファイ・ラボ)の共同創設者ホセ・マリア・マセド(José Maria Macedo)氏は次のようにXで主張している。
One of the largest Portuguese banks BIG is now blocking transfers to crypto exchanges, citing ECB guidance about "risks associated to virtual assets"🤦
Crypto is inevitable, banks are dead, and these abuses of power will only redpill more ppl into moving their wealth on-chain pic.twitter.com/QFTfWCcKdz
— José Maria Macedo (@ZeMariaMacedo) January 7, 2025
ポルトガル最大の銀行の一つであるBIGは、ECBの「仮想資産に関連するリスク」に関するガイダンスを引用して、現在、仮想通貨取引所への送金をブロックしている
仮想通貨は避けられず、銀行は死に、こうした権力の乱用は、より多くの人々をオンチェーンで富を移動させるよう仕向けるだけだ。
ポルトガルはかつて、仮想通貨に対する付加価値税やキャピタルゲイン税がなく、仮想通貨のタックスヘイブンと考えられていたが、2023年に短期の仮想通貨保有に対して28%のキャピタルゲイン税を導入。エルサルバドルなど一部の国では経済的な問題から仮想通貨の導入を縮小しているが、ポルトガルの姿勢の変化は仮想通貨に伴うリスクに対する世界的な懸念を反映している。
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